2011.02.06

スピーキングとリスニングが植民地の教育だという英語教育者

 大学の英語講師のブログに、スピーキングとリスニングは植民地教育であるからやるべきではないと書かれていて、非常に驚きました。

日本の英語教育は昔でいえば、植民地での英語教育のようなことを目指している

・現在の日本の英語教育は、リスニングとスピーキングを重視している。
・これは、アメリカにおける移民教育、もしくは昔の植民地でみられる
 英語教育である。
・本来、英語は自らの知識を高め、自分の能力を向上させるためのものである。
・そのために必要なのは読解力である。
・スピーキングとリスニングは、アメリカ人が指示をする従業員として
 都合のいい能力であって、日本人は外資系か楽天で働く以外は必要と
 しない能力である。
・日本では、スピーキングとリスニングを自らが高額の授業料を払って
 英会話学校に通ってマスターしようとしている。
・これは被支配者になるために、奴隷になるために高額の投資をしている
 という、非常におかしな状況である。


 なぜこんな認識を持つのかを考えてみると、この大学の英語講師は、企業でどのように英語が使われているかが、わかっていないからだと思います。

 多くの日本企業は、海外に子会社を持ち、または海外の取引先と日常的に英語でやりとりをしています。電話会議もあります。出張もあります。子会社も取引先もアメリカだけではありません。世界中にあります。

 アメリカだけでなく世界中で、英語がビジネスの共通語として使われています。日本人が現地でトップとして、上司として指示することも多くあります。こういうことが頭でわかっていたとしても、実感できていないのだと思います。

 リスニングとスピーキングは、メールや文書で足りないところを補うのに必要です。指示を受けて報告するための英語ではなく、連絡・質問・回答・調整・交渉・指示などいろいろな場面で使います。

 全く英語が必要ない会社・部署であればいいのですが、これからはそういう仕事は減っていくか、報酬面で見劣りしていく方向にあるのは間違いないでしょう。

 こういう状況での英語教育は、まずある程度の英語を読めるようにし、次にメールの読み方、書き方、できれば契約書の読み方、その次にビジネス会話という順番でやっていったらいいのではと思います。トラベル英会話があってもいいかもしれません。

 難しいリーディングをやっている時間があるなら、もっとスピーキングとリスニングに時間を割くべきだと思います。

 こういう英語講師がたくさんいて、英語を教え続けているというのが、日本人が英語ができない理由のひとつになっているのでしょう。

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2010.11.28

NHKの英語講座も名前はすべて名-姓の順です

 NHKの英語の番組のうち、英語で名前を表示しているか、あるいはストリーミング放送内で自己紹介をしているものは以下の通りで、すべて名-姓の順になっています。
 ・ニュースで英会話
  川口淳一郎 Junichiro Kawaguchi
 ・Your Japanese Kitchen
  栗原はるみ Harumi Kurihara
 ・基礎英語2
  高本裕迅 Yujin Komoto(ストリーミングより)
 ・基礎英語3
  阿野幸一 Koichi Ano(ストリーミングより)
 ・ラジオ英会話
  遠山顕 Ken Toyama(ストリーミングより)
 ・入門ビジネス英語
  藤本ケイ Kei Fujimoto(ストリーミングより)

 中学の教科書で姓-名の順だと教えられた学生は、この現実をどう思うでしょうか。きっと混乱してどちらが正しいのか親に聞くでしょう。親は教科書に書いてあることが正しいと思うでしょうから、答えられないでしょう。結局混乱は収まらないことになるでしょう。

 何を信じていいかわからなくなると勉強の意欲は減退します。教科書はためになるから、役に立つからということで我慢して勉強しているのに、その内容が本当かどうかわからないとなれば、勉強する意味がわからなくなります。子供が本当にかわいそうです。

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2010.09.05

「姓・名」の順での英語表記に反対します4

 ヨーロッパにあるハンガリーでも「姓・名」の順だとよく言われますが、Wikipediaの『ハンガリー人の姓名』には、こうあります。

『ハンガリーの姓名は本来、日本人と同じく「姓・名」の順である。しかし国外では他のヨーロッパ諸国のように「名・姓」と称することが多く、日本でもこの順で表記される場合が多い。』

 中国系の人たちは英語名を使い、ハンガリーの人たちは日本と同じく「名・姓」を使っています。この状況でなぜ日本人がいま、「姓・名」に変えなければならないのか、さっぱりわかりません。


 文科省の審議員の中には、日本の文化を守らなければならないという、強い思いがあると思います。それはわかりますが、まずは現実がどうなっているかを調べて、実際に海外で英語を使っている人の意見を聞くべきです。

 現状を調査し、変更する場合のメリット・デメリットを示し、多くの人の意見を聞き、合意を得てから段階的に導入するといったプロセスが最低でも必要です。

 文科省はその最初のステップである現状調査すら行わず、強引に教科書まで変えてしまいました。これで、中学生の子供がいる親がこの問題に気付きはじめています。

 文科省はゆとり教育の失敗という前科があります。次の失敗はこれでしょう。

 これをきっかけとして、文科省が今までどれだけ間違った英語を教えてきたのか、いまの学校英語教育がどれだけ歪んでいるのかという議論が高まることになれば、災い転じて福となすとなるのかもしれませんが。

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2010.08.29

「姓・名」の順での英語表記に反対します3

 こんな記事がありました。
 中国人の英語名について考える(サーチナ)

 外国人とのやりとりがある中国人は、たいてい英語名を持っています。中国人なのになぜDianaなんていうのか、という疑問が中国人の間にあるようです。でもその理由は単純で、実際に外国人と付き合ってみると、大変便利であり、必要だからです。


『 現在某企業で働いているのですが、外国人とやり取りする中国人全てが英語名(クリスチャンネーム)を持っているようです。(少なくとも私の周りでは)私も始めは違和感を覚えたのですが、実際の業務上において中国名を言われてもなかなか覚えられず、英語名があると非常に覚えるのに便利と感じてしまっています。』

『 中国人も日本人同様、姓名の順です。するとたとえば毛沢東とか周恩来の場合、沢東毛、恩来周ということになります。しかし日本人は鹿鳴館以来馴らされているので名前をひっくり返すことに抵抗感が少ないのですが、中国人はそうではありません。ましてや中国人にとって、たとえ略称であろうと、直接名前を呼ばれるのは伝統上、習慣上、論外のことです。※中国人にとって直接名前を呼んでもいいのは、親・兄姉、目上の親戚、恩師、幼なじみの友人くらい。』


 日本人は姓・名をひっくり返し、直接名前を呼んでもらうやり方で英語に対処しました。

 姓・名をひっくり返さず、"I'm Suzuki Ichiro."と言うなら、ファーストネームが姓、ラストネームが名前になり、子供からもフレンドリーに"Hi, Suzuki"と呼ばれることになります。これを防ぐには、ラストネームのIchiroが実はファーストネームであって、Ichiroと呼んでほしいなどと説明が必要になり、会話の最初からわかりにくく不自然な雰囲気になってしまいます。

 あるいは、中国方式を採用し、日本人も英語名を持てば、それはそれでわかりやすくはなります。

 しかし逆に、日本人が多数派に合わせる形で、日本語でも普段からフレンドリーに名前で呼ぶように変えていく、という考え方もあると思います。

 今後、オフィスで「名前+さん」で呼ぶ運動を展開すればいいと思います。それが定着したら、次は「さん」を外していきます。そうすれば、英語を社内公用語にしても何の違和感もないし、根拠のない英語名で呼ぶ必要もありません。

 日本の社会が変わるようにしたほうが、これからのグローバルな時代に柔軟に対応していけると思います。もっと未来を基準にした発想をするべきなのに、伝統とか、習慣とか、自分の好き嫌いで判断し、未来に生きる子供たち、世界で活躍する日本人たちのことを考えないというのは、大変残念なことです。

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2010.07.05

なぜ日本人は英語が苦手なのか3

 まとめてみました。

1.言語の構造が大きく異なる
 英語と日本語がかけ離れている。文字だけでなく文法、構造、発想が異なる。

2.モチベーションがない
 日常生活で使わない。仕事でも使わない。英語ができても給料があがらない。

3.周りにお手本がいない
 親戚や友人が日常的に自然な英語を話すことがない。オフィスで英語の会議がよく開かれて、英語が普通に聞けるといった環境がなく、言い回しなどを少しずつ学ぶことができない。

4.日本企業のグローバル化への消極的対応
 経営レベル、現場レベルともに人材交流がない。外国人社員を中途採用して英語で業務をすすめることがない。英語力がないから外国人が同じオフィスで働きにくい、お手本がいないから英語力が向上しないという手詰まり状態になっている。そもそも経営者がやろうとしていない。

5.文部科学省・大学入試・英語教育者の問題
 一通りの基礎を教えたあとの高校・大学の英語教育が、英会話やビジネス英語よりも小説、論説など難しい文章のリーディング中心になっている。また、それをよしとしている。

6.間違った学習法がいつまでも否定されない
 赤ちゃんが母国語を学ぶような感覚でやればよいとか、基礎をやらずに、「○○○だけでネイティブ並みに」「ペラペラに」なるなどといった、ほとんどの日本人には合わない、間違った方法に惑わされ、限られた学習時間が浪費されている。
 あるいは、「とにかく海外に飛び出せ!」などといった、生活に多大な影響を及ぼす決断を唯一の方法として勧めてしまう。

7.学習効率、費用対効果が重視されていない
 ひたすら毎日努力しなければならないといった、「英語道」のようなものが強調され、英語オタク、専門家になるように強いられている。
 どのくらいやればどの程度できるようになるのかが、はっきりしていない。
 目標を設定し、それに対して投資する労力の見積もりができないため、やる気が継続しない。


 これらのうち、1~3は個人ではどうしようもなく、4は私企業の方針変更に期待するしかありません。

 5は公的機関の問題です。まずは大学入試問題がライティングとリスニングの比率を上げることを期待したいと思います。文部科学省には、大幅な改善はおそらく無理でしょう。

 英会話を教えるためには、少人数クラスにしなければいけないのですが、今の予算ではできないでしょう。英語教師にも教えるスキルがないと思います。限られたリソースで、できる限りの英語教育をと考えた結果が、今のカリキュラムということなのだと思います。

 6、7は個人で何とかできる問題です。まずは自分の育った環境によって、学習法を考える必要があります。典型的な日本人なら、「英語上達完全マップ」などのやり方をベースに、ときには英会話学校に通って学習法のアドバイスを受けたり、学習のペースをつかんだりすればいいでしょう。

 最近、やる気のある若い人がノウハウをブログなどに公開しています。みんながこれをやれば、できる人が少しずつ、着実に増えてくると思います。

 たくさんの人が少しでもできるようになって、もっとたくさんの普通の日本人が世界に飛び出していくようになって欲しいと思います。そうすれば、その経験が日本に伝わり、日本にいる人の英語も良くなるでしょう。

 この好循環が生まれれば、日本人の英語力が飛躍的に向上すると思います。それは意外とすぐに、この10年、20年で起こるような気がします。

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2010.06.23

なぜ日本人は英語が苦手なのか2

 ブログや掲示板で探してみました。

日本人はなぜ英語が苦手なのか
 日本人にとって、英語はもともと習得しにくい言語だということを説明しています。

英会話とコンプレックス
 英語に対するコンプレックスが、できない原因であるという説です。

日本人はなぜ英語ができないか
 「英語と日本語はあまりに違う」、「英語の必要がない」、「英語を下手にカジっている(できて当然という意識があるからできないと悩む)」の3つが理由だとしています。うまくまとめていると思います。

なぜ日本人は英語がうまくならないか
 中学高校の英語教育が、「私が英語を学ぶのは、単なるコミュニケーションの手段としてではなく、もっと深い文化について知って、世界中の人々に日本のよさをわかってもらうため」という重いものになっているという指摘です。その通りだと思います。

『竹岡広信・安河内哲也の この英語本がすごい!』がすごい!
 「日本人は英語を学問にし、研究材料にしてしまっている。英語は「知っている」ことが偉いのではなく、「使える」ことが大事。必要なのは英語教育ではなく英語訓練。」といった内容を紹介しています。これもその通りだと思います。

なぜ日本人は英語が苦手なのか?日常には英単語が溢れ、良い教材や英会話教室もあるというのに
・生きる為に必要ないから。植民地になれば上手くなる。
・変な完璧主義になって「日常会話なんて適当で良い」と
 いう現実を見ていない。
・高校まで教育受けて読めないのはそいつの能力が低いだけ。
 しゃべれないのはおそらく教育のせい。
・日本語だけで大学院まで教育ができるから。

英語ペラペラなら就職なんて余裕だろw → TOEIC960点でも仕事につけず
・日本の英語教育は、論文から知識を獲得することを目的としている。
 だから英会話ができない。
・大学入試に英語面接を出題させれば、入試対策のために全国の高校が
 一斉にやるようになるだろう。


 なかなか内容が充実しており、なぜできないのかという理由がわかったような気がします。

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2010.06.21

なぜ日本人は英語が苦手なのか

 Amazonで本を探してみました。

日本人はなぜ英語ができないか(岩波新書)
 主に英語学習のモチベーションを論じたもののようです。1999年7月のちょっと古い本です。

英語と日本人―なぜ英語ができない(英友社)
 「親身にしかも真摯に英語の学び方を解説してくれる本は他に見当たりません。」とあるので、もしかしたら学び方がわかるかもしれません。2007年8月出版の比較的新しい本です。

日本人はなぜ英語に弱いのか―達人たちの英語術
 「上田 明子氏、渡部 昇一氏、松本 道弘氏という、英語界の大御所・三達人が明かす「志」と「根気」と「知恵」のかずかず!」というものです。

日本人に一番合った英語学習法―明治の人は、なぜあれほどできたのか (祥伝社黄金文庫)
 素読、暗唱、文法、多読がだいじだというのはその通りだと思います。時代があまりにも違うため、そのまま参考にできないでしょう。


 実際に読んだわけではないですが、どの本も、原因を分析するというより、私はこうやりましたという内容や、英語の達人が、「努力せずに英語は習得できない」という、ごもっともな説教をしているものが多いように思います。

 知りたいのは、なぜできないのかという原因分析と、日本にいながら、できるだけ労力を節約して、効率的に習得できる方法です。

 人生のほとんどを費やすような努力をして達人になるような方法は、凡人には参考にならないし、英語の専門家になりたいわけではないので、一定以上の労力を割くことはできません。

 おそらく、まだ本としては、あまりまとまっていないのだろうと思います。

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2010.04.25

日本人に合った英語上達法は何か

 最近、よく英語上達法のブログ記事を目にします。日本の先行きに不安になった若者が、海外で働くほうが条件がよければそうしたいとか、あるいは海外に関係した会社、部門、職種、職場で働くほうが将来的に安心だ、と考えるようになってきたのかもしれません。

 最適な英語上達法は人によって違います。日本に住み、両親が日本語しか話さず、中学で英語を始めたという、大多数の日本人にとっての英語上達法は、だいたいの方向が定まってきているように思います。

 「英語上達完全マップ」というサイトがあります。おそらく、ここに書かれている方法が正しいと思います。音読、短い英作文、文法、多読、ボキャビル、リスニングと、やるべきことをやれば、程度の差はあっても少しずつ英語が上達していくことでしょう。


 今は英語学習法の情報があふれ、どれが正しいのかわからなくなっています。大多数の日本人にとっての間違った方法は、だいたい次の3つに分類できると思います。

1.赤ちゃんが母国語を学ぶような感覚でやればよいとするもの
 母国語へ訳し、文法を学ぶ勉強法は学習速度を遅くする(Business Media 誠)

 これはロゼッタストーンという、パソコンを使った学習ソフトの解説です。英語を母国語とした創業者が、ドイツに留学したときに思いついた方法で、「赤ちゃんが母国語を学ぶような感覚で外国語を学べるようなメソッド」というものです。大人がこの方法で上達することはないでしょうから、このソフトで上達することはないでしょう。

 いっぱい聞けていっぱい喋れば上達できるという方法も、同じく大多数の日本人には合いません。ネイティブから習えば上達するというのは神話です。


2.基礎レベルの英語教育を否定するもの
 日本の中高の英語教育がマイナスにしかならない件について

 最初から英語で読んで英語で考えろと言われても、初心者にはできません。読んだ英語が理解できないから、そのあとを英語で考えられません。考えられても英語で表現できません。本当に理解できているかもわかりません。着実に理解するためには、自由自在に使える日本語の助けが必要なのです。

 また、日常生活から離れた構文・単語が出てくるという点ですが、みんながわかっているような構文・単語をテストに出しても差がつかないので、ある程度まれに、しかも着実に出てくるものを出題するのはやむをえません。論文や契約書によく出てくる表現なら、覚えておいて損はないはずです。

 マイナスにしかならないというのは言いすぎで、これくらいはやっておいても時間の無駄にはならないと思います。


3.特殊な成功例を勧めるもの
 英語は度胸、度胸は自信(Business Media 誠)

 通じさせようとする気持ちが大事だとか、ブロークンイングリッシュでもいいから使えばけっこう通じるとか、通じた体験が自信につながるとか、たしかにその通りなのですが、できれば誤解のない正確な言い回しで、英語を使えることをめざすべきでしょう。

 「英語を話すしかない環境」に身を置くのは効果的ですが、誰にもできることではありません。まずは日本でできるだけレベルを上げてから、そういう環境に飛び込むほうがずっといいと思います。


 間違った学習法がはびこる理由は、その方法で確かに結果が出ているためです。

 しかし、そういう学習法を勧める人の育った環境は、典型的日本人のそれと大きく異なっていることがあります。英語に近い言語が母国語である人、幼いころから英語に慣れ親しんできた人、海外に長期間過ごした人です。こういう人たちは、環境の違いによる影響をあまり言わずに、自分の成功体験を語っています。環境の違いを見落とし、他人が成功したという事実だけをみて学習しても、自分の結果を出すことはできません。

 間違った学習法で時間を浪費することなく、自分に合った方法で、できるだけ若いうちに、目安としてのTOEICのハイスコアを出し、その後海外で実践してさらに飛躍させる、といった手順で地道に努力していけば、きっと多くの日本人が着実に英語力を伸ばしていくことができるでしょう。

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