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2008.02.17

経済低迷の原因を「勤勉」と「道徳心」の欠如にすりかえる齋藤孝氏は間違っている

 日経BPに「齋藤孝の「3分間」アカデミー」という連載があります。「着ているTシャツに「上機嫌」の文字を刷り込め」など、面白いコラムが多いのですが、今回のはちょっと疑問でした。
 「勤勉」と「道徳心」はどこへ消えたのか(nikkeibp)

『かつて日本人と言えば、世界が呆れるほどの勤勉さが“売り”だった。』
『ところが、これらの特性をバブル経済が破壊した。世の中はカネとモノであふれ、飢えや貧しさを心配する必要はなくなった。』
『(経済低迷の)要因として、国内外をとりまく経済情勢の変化がよく挙げられる。しかし私は、「勤勉さ」と、そのベースにあるはずの「道徳心」の欠落こそ最大の問題ではないかと思っている。』
『これを「たんなる理想論」と片づけるのは簡単だ。しかし、かつて日本には、ひたすら道徳を追求した経営者が数多く存在した。松下幸之助氏はその典型だ。』

 果たしてバブル以前はみんなそんなに勤勉だったでしょうか。そんなに道徳的だったでしょうか。今の若い人のほうが、効率的によく働いているのではないでしょうか。企業の不祥事は今より少なかったのでしょうか。内部告発の方法がなく、単にばれなかったからではないでしょうか。

 「勤勉」と「道徳心」はもちろん重要です。しかし、単純労働なら、どんなに勤勉であってもコストの安い中国人に勝てません。

 齋藤氏は、グローバル化によって変化している世界についていけない日本の状況をわざと無視し、誰にでも分かりやすい「勤勉さ」と「道徳心」の欠落の問題にすりかえています。経済低迷の遠因は「道徳心」の欠落などではなく、政治家、官僚、マスコミ、大学教授など、日本の知識人の多くが世の中の流れを認識できず、自分を変えることができないからではないでしょうか。

 齋藤氏はまた、松下幸之助氏を理想の人物としていますが、これもどうかと思います。開発途上国で安い製品を大量生産している時代に製造業を続けるには、かなりの知恵と努力が必要です。どんなにいいものを作っても、価格で勝負にならないことも多いでしょう。

 製造業でやっていける能力がある人はそれでもいいのですが、それ以外に、投資や、金融サービスなど、稼ぐ道を開く必要があるはずです。

 松下幸之助のようになれと言われても、時代が違うので説得力はないし、子供の心にも、現役世代の大人の心にも響きません。ひょっとしたら、齋藤氏のベストセラーは、世界から取り残された人たちに受け入れられたに過ぎないのかもしれません。

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