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2007.01.07

ホワイトカラー・エグゼンプション導入で何がおこるか

 ホワイトカラー・エグゼンプションとは、優秀な人を時間を気にせずに働かせることができ、しかも残業代を支払わなくて良いという、経営者にとって非常に都合のよい制度です。経団連が導入を主張しています。これにより、企業はさらに利益を増やし、株価を上げることができ、日本の成長戦略に貢献することができます。

 ホワイトカラーは、働き方に裁量性が高く、労働時間の長さと成果が必ずしも比例しない部分があるために、労働時間に対して賃金を支払うのではなく、成果に対して賃金を支払う仕組みに変えるべきであるという理屈です。なるほど合理的でもっともなことに聞こえます。

 しかし、すでに裁量労働制や成果主義といった似たような制度・考え方があり、広く運用されて問題点が明らかになっています。常に高めの目標が設定されてしまい、それを達成するために労働時間に際限がなくなります。うまく成果評価ができずに職場全体に不満が高まります。短期的な目標を設定しがちになります。

 この制度を導入することによってホワイトカラーの人件費は大幅に下がるでしょうが、ホワイトカラー側の意識の変化は重大なものになるでしょう。上を目指すグループは成果を目指して際限なく働くでしょう。それで成果が出せればいいのですが、出せなかった人のダメージは大きく、健康面・精神面の問題がでてくるでしょう。そのリスクゆえに上を目指さない人が増えるでしょう。そして士気と忠誠心が大幅ダウンするでしょう。

 世界のトレンドに合わせるために規制緩和するのでしょうが、その結果プラスになるかどうかは疑問です。日本は他国と違って過労死があったり、残業を美化する風潮があります。仕事の指示がきちんとされず、分担があいまいです。そういう状況で導入することで、マイナスになることもあるでしょう。

 安倍内閣はホワイトカラーの職場の状況を分かっていないようにも思えます。
 残業代ゼロ 首相「少子化対策にも必要」(asahi.com)
 残業代ゼロ法案「次期通常国会に提出」 厚労相が強調(asahi.com)

 ホワイトカラー・エグゼンプションは生産性を上げることが目的であり、結果的に給料が下がるか、仕事量が増えるかすることになります。労働時間は直接には関係なく、減る場合もあるでしょうが、増えることもあるはずです。
 この制度の本質は、国民に対して、海外の労働者に負けないような生産性の向上をお願いし、企業を儲けさせることにあるのに、それを認識できておらず、国民にも良い制度であるかのようにウソを言っています。

 ただ、安倍首相は「もう少し議論を進めていく必要がある」と言っているので、今後、理解が深まることを期待したいと思います。

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