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2006.12.03

言い訳にしか聞こえない民間出身校長の親・地域・追加教育批判

 日経BPの特集に、東京都杉並区の現役の区立中学校校長である藤原和博氏が寄稿しています。これを読む限り、責任を他者に押し付け、言い訳ばかりしているような印象しか持ちえません。
 今、学校で何が起きているのか(nikkeibp)

 要約すると以下のような内容になります。
 ・子供は「家庭」「地域社会」「学校」が三位一体で育てるものだ
 ・今の子供は昔と比べてしつけができておらず、大人になっていない
 ・地域社会が衰退し、子どもを大人にする役割から降りてしまった
 ・その結果、学校が子育ての仕事を1人でやらなければならなくなった
 ・公立校の教員の人数は昔から変わっていない
 ・少子化により、保護者の学校に対する期待が高まってきている
 ・「環境教育」「IT教育」「福祉ボランティア教育」「国際理解教育」
  「こころの教育」「いのちの教育」「キャリア教育」「起業家教育」
  「金銭教育」といった追加教育が増え、教師の仕事が増えている

『今日の学校がとかく批判されがちなのは、学校自身の内部要因よりむしろ、外部要因である「家庭」と「地域社会」とが変質していく中で、その波をまともにかぶったという意味合いが強いのだ。』

 まず前提としている社会状況の認識に疑問があります。確かに兄弟姉妹は少ないですが、今の子供は習い事が多いため、サッカーやスイミングなどのスポーツクラブや、塾などで揉まれています。昔に劣らず、人とのふれあいがあるはずです。しつけができていない面はあるでしょうが、個性重視の副作用として受けとめるべきはないでしょうか。

 昔はそんなに大人だったのだろうかという疑問もあります。親が高学歴化しており、洗練されている面もあります。親がある程度勉強を教えられるというプラス要因もあるはずです。

 「地域社会」の機能不全はニ、三十年前から言われていることです。いまさら言うことではないと思います。

 教師の人数が同じであるなら、少子化している分、昔より余裕があるのは明らかです。

 藤原氏の寄稿を読んでいて思うのは、学校全体の事務処理能力が低いことです。企業のように生産性の向上がないのでしょう。学校はお互いに「先生」と呼び合っています。組織として機能してないのかもしれません。企業が失敗したプロジェクトの原因を分析すると、「管理不在」と言われることがあります。学校はきちんと管理できていないのではないでしょうか。

 仕事が多すぎるなら、アウトソーシングしたらどうでしょう。先生の資格を持った塾の講師に手伝ってもらえないのでしょうか。事務作業は派遣の人を使えばできるはずです。

 古き良き昔と比較し、世の中が変わったから学校が機能しなくなったという言い訳をしているようにしか聞こえません。企業なら、消費者が変わって買わなくなったからオレは悪くないというのは通用しません。変化に対応しなければ会社はつぶれてしまいます。世の中が変わったのなら、それに合わせて改革すべきです。

 親に問題があるのはみんな知っています。その与えられた条件の中で、どうすべきかを考えるべきで、どうベストを尽くしたかを説明して欲しいです。親をどのように教育すべきかも提言して欲しいです。クレームが多いなら、企業でお客様相談室を設けているように、各校に保護者相談員を配置したらどうでしょう。

 もしかしたら杉並区が特殊なのかもしれません。権利ばかりを主張する親の密度が異常に高いのであれば、地域の特殊性に合わせた対応も必要でしょう。

 資源が少ないのなら、当面はその範囲でベストを尽くすべきであり、自分たちはどのようにベストを尽くしたのかを説明して欲しいです。地域や世の中が何をすべきかを教えて欲しいです。どういうものが欲しいのかを提言して欲しいです。それが民間校長に期待されたものだと思います。

 天然資源のない日本では人材が命であるのに、国際競争力のある人材をうまく育てられない教育界に対し、国民が怒っています。外からは、与えられた資源に対してベストを尽くしているようには見えません。個々の教師は極限まで努力していても、全体として資源の配分がおかしかったり、無駄な教育をしたり、怠け者先生ががんばっている先生の足を引っ張っているように見えます。きちんと目標が設定されていなかったり、管理ができていないために、仕事の負担が末端の先生に押し付けられ、疲弊してしまって、未来の教育まで考えが至らないといった状況にみえます。

 この日経BPの特集は4回シリーズということで、自分の実績のアピールや根本的な改革案はこれから出てくるのだと思います。どうすればいいのか、本質をついた提言を期待したいと思います。

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コメント

学校は、子供達が教育を受ける場であると同時に教員達の生活を支える職場でもある。職業である限り「カネ」が絡んだ教育産業と無縁ではありえない。国会議員に文教族が存在することを見ただけでも既得権益を守ろうと醜くあがく、「聖職」などと言う言葉とは縁もゆかりもないのは明らかである。
 教育問題に「子供」にかこつけた聖性を持ち込み、農業問題に「大地や自然」にかこつけた神性を、医療問題に「人間の命」にかこつけた神聖を持ち込んで、それをことさらに強調する。神をも恐れぬ偽善としか言いようがない。
 彼らは、民主党のとうへんぼくのお気に入り「この印籠が目に入らぬか」とばかりに正当な苦言を退けてきた。
 ほんの一例に過ぎないが、救急隊員の救命医療さえ縄張り意識で反対し多くの人の命を顧みなかったことなど 「医は仁術」とは何のことか。
 
 先生方、他者に責任をなすりつけている場合ではないだろう。国の管理を強めるのは当然のこと。無能で腐敗した銀行を建て直す時と同じではないか。どんなに抵抗しようとも教師達がその荒波を逃れることは出来ない。

投稿: 案山子 | 2006.12.04 01:38

 教師の人数が同じであるなら、少子化している分、昔より余裕があるのは明らか? 全然明らかじゃないです。少子化というのは、要するに子供の「割合」が減っているということであって、子供の人数が減っているというわけではないです。日本人全体の人数が増えていたので子供の人数は昔から大して変わっていません。

 事務のアウトソーシングなんて学校が勝手にそんなことできないでしょう。確かに、教育現場の問題は、現場を一番理解している学校が自ら改善していければいいと思います。しかし、どういうわけか今は国の管理を強めようという方向に流れている気がします。これでは社会の変化に対応していくなんてできるはずもないです。

投稿: | 2006.12.03 08:57

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