主役二人が登場した国会証人喚問が終わりました。新聞各紙が特集ページにまとめていますが、力の入れ具合にかなりの違いがあるような気がします。
マンション耐震強度偽装(asahi.com)
耐震データ偽造問題(Mainichi INTERACTIVE)
読売の特集「強度偽装」(YOMIURI ON-LINE)
特集:耐震強度偽装問題(NIKKEI NET)
最もがんばっているのは毎日です。証人喚問当日(14日)と前日(13日)の記事一覧を見ると、独自の取材による記事、原因・背景究明の記事がいくつかあります。
・「鉄筋3分の1減らせ」 総研、設計会社に文書指示
・姉歯元建築士、数年前から羽振りよく--外車次々と
・耐震計算偽造:総研、「上納」で損出ず 赤字でもキックバック不変
・耐震計算偽造:ヒューザー、名義借りて建築申請 「木村建設」施工を「ゼネコン」
『極端に鉄筋を減らした偽造物件乱造の根幹は、総研だった疑いが強まった。』
『知人の男性は「最初は(病気の)妻のために仕方なく偽造をしたのかもしれないが、次第に感覚がマヒし、カネを得て虚栄心を満たすことが目的になったのでは」と話す。』
『こうした徹底的なコストダウンの流れが、鉄筋量を少なくするなどの耐震データを偽造した姉歯秀次・元1級建築士(48)を生む背景になったとみられる。』
逆にだめなのは朝日です。14日、13日の記事一覧を見ても、国交省・自治体の発表記事、住民インタビュー、証人喚問の描写ばかりで、原因・背景を解明しようとする気配が感じられません。特に国交省の記事が多く、国交省の意向をそのまま伝えているようにみえます。総研の独自取材でも、つっこみが足りないような気がします。本質よりも周辺の記事が多く、読者を混乱させるためにわざとやっているのではとさえ思ってしまいます。
・ヒューザー窓口会社が社名変更 「もう関係ない」(12/14)
・ダイエー、ヒューザーへの系列ホテル売却を解約(12/13)
・マンション住民が再建案 容積率増やし売却益 耐震偽装(12/13)
・「法の範囲内」と総研 耐震強度偽装(12/13)
・総研、建材削減を指導 「鉄筋あと20キロ減らせる」(12/13)
自民党森派の政治団体「清和政策研究会」がヒューザー、日本ERIの社長個人から献金を受けていたことから、この問題をきびしく追及することで小泉政権にダメージを与えられるはずなのに、朝日がなぜここまで及び腰なのか不思議です。
自民森派、ヒューザーなどの献金計660万円返却へ(asahi.com)
読売は記事そのものが少なく、独自に動いている様子がありません。
日経の記事は単純に証人喚問のやりとりを流しているだけです。重要部分に焦点を当てて解説しないと、読者には、何が問題で、今回の証人喚問で何がわかったのかさっぱりわかりません。
読売、日経が報道に消極的な理由はなんとなくわかります。しかし、なぜ朝日が消極的なのかわかりません。12/8の社説「耐震偽装 証人喚問で闇を照らせ」でも、まるで読者の声のように、国が真相を解明してくれることを願っているだけです。自分たちが独自に取材して全容を解明しようという雰囲気がありません。
朝日が真相解明に消極的なのは何か理由があるはずです。今後これが何なのか明らかになることを期待します。
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