森永氏が郵貯が危ないとデマを流しています
日経BPのSAFETY JAPAN 2005の森永卓郎氏のコラム「小泉構造改革をどう生きるか」の第3回です。
郵政民営化法案成立で我々を待ち受ける運命~郵貯・簡保は日本国債・米国債のゴミ箱と化す~(nikkeibp)
内容は2つに分かれています。前半は、郵貯が米国債を買うだろうという予想です。
・まずアメリカが郵政銀行の株の約20%ほどを購入する
・そして、金利が高く、格付けが高い米国債を購入するべきだと提案する
・いままでは中国が買ってきたが、先の見えない米国債など恐くて買っていられない
・結局、郵貯が引き受ける
というものです。
アメリカが郵政銀行の株を買うとありますが、いったい誰が買うのでしょうか。連邦政府でしょうか。年金、大学、ヘッジファンド、それとも個人でしょうか。米国債を買わせるというシナリオなら、連邦政府でしょう。それならそんな面倒なことをせずに日本政府に頼めばいいのではないでしょうか。
それ以前に、今の米国債は、かなり人気があるはずです。金利が上がらないことがその証拠です。おそらく、オイルマネーが入っているのでしょう。わざわざこんな手の込んだことをして米国債を買ってもらわなくても大丈夫のはずです。
そして後半は、米国債を持った郵貯は危ないから、株・不動産にシフトせよという提案です。
・今は本格的な景気回復の局面である
・デフレの脱却は来年3月、そしてインフレが到来する
・現金や預貯金を持っていることがリスクとなる
・株式・不動産が有利である
というものです。
インフレがくるという予測も疑問ですが、ある程度のインフレになったときに、果たして土地や株が期待通りに値上がりするのかも疑問です。
特におかしいのは、郵貯から逃げなさいと言っているところです。
『 こうした(郵貯が米国債を買う)動きに対して、庶民がとりうる対策は1つ。すぐにでも郵貯から逃げられる態勢をとっておくことである。 ~だが、事情がよく飲み込めずに逃げ遅れる人も多くいるに違いない。郵貯のお得意さんである、いなかの高齢者である。 ~そうして、安全だと信じていた虎の子の貯金を失うといった悲劇が、あちこちで起きるような気がしてならないのだ。』
郵貯は限度額が1000万円ですから、民営化されて銀行になるとすべてが預金保険の範囲内であり、全額が補償されます。お年寄りが虎の子の貯金を失うなどというのは根拠がなく、デマといえます。こんなデマを流す責任は重大です。
庶民の味方であるはずの森永氏が、元本保証の郵貯を危ないからと引き出させて、不動産・株を買いなさいと言うのは、何か裏に意図があるのでしょうか。
また、インフレがくることを前提として議論を展開していますが、もしなかなかインフレにならなかったらどうするのでしょう。そういう場合も考えてバランスよく投資の計画を立てることを勧めるべきではないでしょうか。この文章を読む限り、森永氏には投資のアドバイスをする能力はないと思います。
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コメント
マスコミのおもちゃかバラドルに毛が生えたような自らの存在価値を、このへんで一挙に高めたいと 渾身の力を振り絞って書き上げた自信作のつもりでしょう。人間の業の深さを思い天を仰ぎたくなる気分です。
信長の「たか転び」を予見した安国寺恵璦を気取った知識人達が、小泉信長のつまずきを期待する発言を随所でしています。
人の口には戸を立てられないといいますから、まあそれは良しとしても 森永が、取り付け騒ぎの一つでも起こして(絶対起こらないのですが)小泉をつまずかせたいなどと考えてこのような文章を発表しているとしたら 経済アナリストの端くれと言えども無責任極まりない許されざる行為です。万が一にも取り付け騒ぎが発生したなら 犯罪ではないですか・・・などと興奮するほどの手合いではないですが。
投稿: 案山子 | 2005.10.22 09:17